第70回 有馬記念(GⅠ)レース回顧|ミュージアムマイルが世代交代を告げる完勝

レース回顧

2025年12月28日、中山競馬場で行われた年末の大一番「第70回 有馬記念(GⅠ)」。国内外の強豪16頭が芝2500メートルに集結し、スタンドを埋め尽くしたファンの熱気とともに発走を迎えた。今年の有馬記念は、実績馬と新星が入り混じる非常に見応えのある一戦となり、その結末は“世代交代”を強く印象づけるものだった。

勝利を手にしたのは、3歳牡馬ミュージアムマイル。C.デムーロ騎手の冷静沈着なエスコートに導かれ、ゴール前で鋭く抜け出し、GⅠタイトルを堂々と掴み取った。

レース結果 JRA

レース全体の流れと展開分析

スタート直後、ハナを奪ったのはミステリーウェイ。内枠を利して思い切った逃げに出る形で、メイショウタバルコスモキュランダといった先行勢がこれに続いた。前半1000メートルは比較的落ち着いたペースで流れ、極端なハイラップにはならず、各馬が自分のリズムを守りやすい展開となった。

一方、勝ったミュージアムマイルはスタート後すぐに後方へ。1周目のスタンド前では最後方に近い位置で脚を温存し、終始インコースでじっと我慢する競馬を選択した。この判断が、結果的に勝利への最大の伏線となった。

3コーナー手前から徐々に隊列が凝縮し、2周目の向正面では先行馬の手応えに陰りが見え始める。ここで中団からダノンデサイル、外からレガレイラが進出を開始し、レースは一気にクライマックスへと向かっていった。

勝ち馬ミュージアムマイルの完璧なレース運び

ミュージアムマイルは、終始後方で折り合いに専念し、直線に向くまでほとんど外へ持ち出すことなく脚を溜め続けた。4コーナーでもまだ後方だったが、直線に入ると一気に進路を確保。C.デムーロ騎手のゴーサインに応え、鋭い末脚を繰り出した。

上がり3ハロンは34.6秒。この数字が示す通り、長距離戦でありながら瞬発力勝負にも対応できる万能性を証明した形だ。ゴール前では粘るコスモキュランダをきっちり差し切り、半馬身差をつけてフィニッシュ。タイムは2分31秒5と、展開を考えれば非常に優秀な内容だった。

3歳馬での有馬記念制覇は簡単なことではない。しかも、皐月賞馬や海外GⅠ勝ち馬が揃った中での勝利は価値が高く、今後の競馬界を背負って立つ存在であることを強く印象づけた。

2着コスモキュランダ:伏兵の大健闘

11番人気という低評価を覆し、堂々の2着に食い込んだのがコスモキュランダ。ブリンカー着用で集中力を高め、2番手から積極的な競馬を展開した。直線では一度は先頭に立ち、そのまま押し切るかに見えたが、最後はミュージアムマイルの決め手に屈した。

それでも、横山武史騎手の思い切った騎乗と馬自身のしぶとさが噛み合い、ゴール寸前まで観る者を惹きつけた。スタミナと先行力を兼ね備えており、条件が噛み合えば今後もGⅠ戦線で侮れない存在となりそうだ。

3着ダノンデサイル:地力は見せたが…

1番人気に支持されたダノンデサイルは3着。道中は中団で流れに乗り、直線でも確実に脚を使ったが、勝ち馬ほどの切れ味は発揮できなかった。それでもクビ差の3着と大崩れはせず、地力の高さは改めて示した形だ。

海外遠征帰りというローテーションを考えれば、コンディション面での上積みはまだ見込める。悲観する内容ではなく、来年以降も中距離〜長距離路線の主役候補であることに変わりはない。

人気馬レガレイラは4着に敗退

単勝1番人気のレガレイラは4着。後方からの競馬となり、直線では鋭く追い込んできたものの、前を捕らえるまでには至らなかった。上がり3ハロンは勝ち馬と同じ34.6秒で、脚は確実に使っている。

位置取りの差がそのまま着順に影響した印象で、展開ひとつで結果は大きく変わっていた可能性も高い。牝馬ながらこのメンバーで4着は立派で、評価を下げる必要は全くない。

先行勢の明暗とペースの罠

逃げたミステリーウェイは16着と大敗。前半はマイペースに見えたが、結果的には後続に目標とされ、直線で一気に失速した。メイショウタバルも同様に、早めに脚を使った分、最後の粘りを欠いた。

一方で、タスティエーラやマイネルエンペラーなど、好位〜中団勢は比較的安定した走りを見せており、今年の有馬記念は「前すぎず、後ろすぎず」のポジションが理想だったと言える。

払戻金から見る波乱度

結果的に、馬連22,520円、3連単131,710円と高配当決着。勝ち馬こそ上位人気だったものの、2着に11番人気のコスモキュランダが入ったことで、一気に配当が跳ね上がった。

有馬記念らしい“夢のある結果”であり、ファン投票レースならではのドラマ性を改めて感じさせる一戦だった。

総括:世代交代を象徴する有馬記念

第70回有馬記念は、ミュージアムマイルという新たなスターホースの誕生を高らかに宣言するレースだった。3歳馬が古馬の壁を打ち破り、しかも内容は文句なし。展開、騎乗、馬の能力、そのすべてが噛み合った完勝だったと言える。

一方で、上位に来た古馬勢も決して力負けではなく、来年以降の再戦が今から楽しみになる結果でもある。2025年の競馬を締めくくるにふさわしい、記憶に残る有馬記念だった。

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