年表で見る10年の勝ち馬
| 年 | 勝ち馬 | 人気 | 騎手 | 父 | 上がり(3F) | 前走クラス |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2015 | デンコウアンジュ | 12 | 田辺裕 | メイショウサムソン | 33.3 | 未勝利(中1週) |
| 2016 | リスグラシュー | 1 | 武豊 | ハーツクライ | 33.5 | 未勝利(中6週) |
| 2017 | ラッキーライラック | 2 | 石橋脩 | オルフェーヴル | 34.7 | 新馬(中9週) |
| 2018 | シェーングランツ | 6 | 武豊 | ディープインパクト | 33.8 | 未勝利(中9週) |
| 2019 | リアアメリア | 1 | 川田将 | ディープインパクト | 33.0 | 新馬(中5ヶ月) |
| 2020 | ソダシ | 1 | 吉田隼 | クロフネ | 33.9 | 札幌2歳(中7週) |
| 2021 | サークルオブライフ | 7 | Mデム | エピファネイア | 33.5 | 未勝利(中5週) |
| 2022 | ラヴェル | 3 | 坂井瑠 | キタサンブラック | 33.0 | 新馬(4ヶ月) |
| 2023 | チェルヴィニア | 1 | Cルメ | ハービンジャー | 33.3 | 未勝利(中10週) |
| 2024 | ブラウンラチェット | 3 | Cルメ | キズナ | 33.3 | 新馬(中5週) |
注:本表は2015〜2024の勝ち馬を抜粋。人気や上がり等は提供データを基に整理。
解説(表を読むポイント)
- 勝ち馬の人気は極端に偏らず、1〜3番人気が複数回の勝利を占める一方で、2015年のように二桁人気が勝つ年もある。
- 上がりは概ね33秒台が多く、33秒前半を出せる馬は有利。34秒台の勝ちもあるが、上がりの速さが勝敗を分ける要素になっている。
- 前走は新馬・未勝利・地方(札幌2歳)などバラつきがあり、厳密な「格」よりもレース適性と成長度合いが鍵になる傾向。
脚質(位置取り・上がり)―― 近年の変化と傾向
前後関係(前に行くタイプ vs 差し・追い込み)
アルテミスは東京1600mで行われ、フラットなマイルコース。過去10年を振り返ると、勝ち馬の通過順位は「中団〜後方から差してくるパターン」が多く観察されます(例:2019リアアメリアは中〜後方から強烈な末脚、2022ラヴェルは後方から)。一方で、前に行って粘った勝ち例(2015デンコウアンジュはやや前目→押し切り)もありますが、多くは中団からの差し切りという点が目立ちます。
その背景には、東京マイルの直線の長さと2歳馬の「成長差」があります。前に行った馬でも直線で力尽きやすく、ラスト3Fでの加速力(上がり)を持つ馬が着順を伸ばす傾向です。
上がりの重要性(33秒台を出せるか)
提供データを見ると、勝ち馬の上がり(3F)は概ね33秒台が多く、33秒台前半の脚を持つ馬が優位です。特に33.0〜33.5を出せる馬は東京の直線での差し脚が活きます。逆に34秒台後半や35秒台の上がりだと、前残りの展開でない限り厳しいことが多いです。
実例:2019年(33.0)、2022年(33.0)、2018/2024の33.3〜33.8など。上がりの速さは勝ち切るための必須条件に近い。
まとめ(脚質)
- 「中団〜後方の差し」がもっとも多い主流パターン。
- 上がり33秒台の脚がある馬を中心に考えるのが妥当。
- ただし、展開次第では前崩れで先行馬が残ることもあるため、先行馬の末脚(ラスト5Fの持続力)も要確認。
血統傾向 ―― 父系の分布と読み解き
勝ち馬の父系サマリー
過去10年の勝ち馬の父系を見ると、ディープインパクト系が複数回(2018,2019)勝っているものの、近年は多様化しています。代表的な父系の分布(勝ち馬)を改めて整理します。
- ディープインパクト系:2勝(2018 シェーングランツ、2019 リアアメリア)
- ハーツクライ系:1勝(2016 リスグラシュー)
- エピファネイア系:1勝(2021 サークルオブライフ)
- クロフネ、オルフェーヴル、キタサンブラック、ハービンジャー、キズナ、メイショウサムソン等:各1勝ずつ
解釈:かつての「ディープ一強」から、近年はマイル適性を持つ血統やスピード寄りのラインも通用しており、“母系や個体のマイル適性”がより重視されるようになっています。
ディープ系と多様化する父系
ディープ系は当然マイル〜中距離での安定感がありますが、近年はキズナ・キタサンブラック・ハービンジャーなど、母系や母父に速力を持つ血を持つ馬が台頭している点が興味深い。要は「父だけ見て決める」時代はやや終わりつつあり、複合的に“父×母父”のマッチングを重視したいレースです。
マイル適性を示す血統パターン
- 瞬発力が出やすい系統(ディープ・エピファネイア傾向):直線でのキレがあり、追い込み・差し向き。
- 持続力+パワー系(キタサンブラックやオルフェーヴル系):前残りや上がり持続力が生きる。
- スピード系(クロフネなど):出遅れや外枠でも直線で一気の脚が出せる馬が合う。
結論(血統):ディープ系に頼りすぎず、母父の速力や個体の瞬発力を評価すること。マッチングの良さ(父×母父)が結果に直結する場面が多い。
人気と波乱 ―― 本命馬の信頼度と穴の条件
支持率(上位人気の結果)
提供の人気別成績を見ると、1人気は勝率40%/連対率60%/複勝率60%と非常に信頼が置けます。2人気は勝率10%だが連対率60%と堅実。つまり上位2〜3人気は期待値が高い一方で、4〜6人気やそれ以下は勝ち切る確率が低く、波乱要因となります。
しかし、2015年のデンコウアンジュのように12人気が勝った年もあり、一発の可能性は常に存在します。波乱年は展開(極端なハイペースや極端な前残り)や馬場状態、未知の成長力が噛み合ったときに起こります。
波乱を演出する要素(枠順・前走ローテ等)
波乱を生みやすい条件には次が挙げられます:
- 外枠有利の傾向(表参照):提供データの枠順別成績では8枠の成績が良好(勝率19%と突出)。外々を回っても直線の長さで差し切る馬が多い。
- 短期ローテ(中1週)や輸送による緩み:短期間での上積みが見られる一方、馬体の落ちが出ると不利。だが短期で良化するタイプは穴を開ける。
- 前走クラスが低めでも上がりが速い馬:未勝利→重賞で好走というパターンが複数年見られる。新馬勝ちや未勝利からの直行組で成長力を見せる馬は注意。
枠順・所属(美浦/栗東)と傾向
枠順別成績
| 枠 | 1着 | 2着 | 3着 | 勝率 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 0 | 1 | 1 | 0.0% |
| 2 | 2 | 1 | 1 | 13.3% |
| 3 | 0 | 2 | 1 | 0.0% |
| 4 | 1 | 1 | 0 | 6.7% |
| 5 | 0 | 0 | 2 | 0.0% |
| 6 | 1 | 2 | 2 | 5.9% |
| 7 | 2 | 1 | 2 | 10.0% |
| 8 | 4 | 2 | 1 | 19.0% |
解説:最も注目すべきは8枠の高勝率。外目の枠が有利な理由として、東京コースの外からの馬の通しやすさ、直線での伸びの確保が考えられます。逆に1枠は勝ち切れておらず、内枠の不利がみられる年もあるため、内枠=絶対に買えない、ではないが要注意。
所属(美浦/栗東)傾向
- 栗東所属馬の方が好成績(勝率10.5%)で、複勝率も高め。これは栗東所属の調整法や育成傾向がこの時期の東京マイル2歳牝馬に合っている可能性があります。
- 美浦は勝率・複勝率がやや低め。ただし個別の馬のポテンシャルがあれば十分勝負できる。
ローテーション・前走クラスが示す成績
過去の勝ち馬は、新馬→アルテミス直行組が複数(2019,2022,2024など)あり、一度勝ち上がって短期間で重賞に対応できる瞬発力型が強い傾向があります。一方、前走で既に好走して来たローテ(札幌2歳、野路菊など)からの参戦で、そのまま重賞でも好走する馬もあります。
重要なのは「前走内容の質」。単に勝っているか否かではなく、前走で見せたラストの反応(上がり)や位置取りがそのままアルテミスでも活きることが多いです。
騎手・厩舎の傾向(勝利パターン)
提供データでは、C.ルメールや武豊といったビッグネーム騎手の好成績が目立ちます(勝ち鞍多数)。名手が乗ることで2歳馬の能力を引き出すケースが多い点は注目。厩舎面では矢作・中内田・須貝・木村哲・藤沢和などの主要厩舎の勝利が散見され、上手く仕上げてくる厩舎の馬は重賞での信頼度が高いと言えます。
世代のレベル感 ―― 「2歳時点での格」をどう見るか
2歳戦は「その年の世代差」が顕著に出る舞台。アルテミスは2歳牝馬の早期選別の場であり、勝ち馬や好走馬は翌年以降のクラシック路線でも注目されることが多いです。過去10年を見ると、その年ごとの“上位層の厚さ”が結果の安定度に直結します。強い世代では1人気の信頼度が高まり、世代がやや弱めだと荒れる傾向が増します。
データから導く馬券戦略(実践的アドバイス)
ここまでの分析を踏まえた実践的な買い方の提案です。
基本戦術(堅め重視)
- 軸は「上がり33秒台が出せる上位人気(1〜3人気)+外枠」で堅めに。1人気の信頼度は高く、2〜3人気も連に絡みやすい。
- 馬券種:単勝+ワイド(1人気中心に+2〜4人気の組合せ)
波乱狙い(穴を取りに行く)
- 注目は「前走で上がり33.5以内を出している中〜外枠の馬」や「短期で良化した中間の馬体増減が好転している馬」。
- 馬券種:三連複フォーメーション(1人気を軸に、2列目に3〜6人気、3列目に7人気以下を1〜2頭入れる)で一発を狙う。
枠順別戦術
- 外枠(7〜8枠)からの差し脚に注意。外枠で上がり33秒台が出せる馬は本線。
- 内枠の先行馬は「前残り」の展開がないと厳しいため、レース当日のペースを重視して評価を下げる/上げる。
馬券の配分例(資金管理)
- 基本(堅め)シナリオ:資金の60%(軸単勝+ワイド)
- 波乱(拾い)シナリオ:資金の30%(三連複フォーメーション)
- 遊び(大穴)シナリオ:資金の10%(単勝穴狙い)
まとめ
過去10年のアルテミスステークスは、中団〜後方からの差し脚(上がり33秒台)を持つ馬が結果を出すことが多く、外枠がやや優勢、父系は多様化しているというのが大きな収穫です。1人気の信頼度は高く、しかし年によっては大波乱も起きる——つまり「堅実に狙うか、一発に賭けるか」をしっかり分けるレースです。
ポイント総括:
- 上がり33秒台の末脚は最優先で評価。
- 外枠(7〜8枠)は割引せず、逆に注目。
- 父系は多様化、母父や個体のマイル適性を重視。
- 1人気は堅実だが、短期の良化やローテで突っ込む穴馬を見逃すな。
FAQ(よくある質問)
Q1:上がりが速ければ必ず勝てますか?
A1:絶対ではありません。上がり33秒台は有利条件ですが、位置取り・馬場・枠順・騎手の判断など複合要素が勝敗を左右します。上がりは“必要条件”に近く、単独では十分条件になりません。
Q2:外枠が有利とありますが、内枠の馬は切ってよいですか?
A2:切りは危険です。内枠でも前に行き切れる馬や、内から差せる素質を見せる馬は残ります。枠は参考情報の一つとして扱い、総合評価で判断してください。
Q3:母父はどれを重視すれば良いですか?
A3:速力を示す母父(スピードや瞬発力の遺伝傾向が強い系統)を高く評価します。特に東京マイルでは末脚の持続力やキレを母父が補うと有利です。
Q4:短い間隔(中1週)で出走する馬はどう見る?
A4:中1週は好転するケース(勢いのまま好走)と、反動が出るケース(馬体落ち)に分かれます。直近の馬体重推移や調整過程、厩舎コメントを確認することが重要です。
Q5:二桁人気の大穴が来る条件は?
A5:展開が極端に有利(前が潰れるなど)か、馬の成長度合いを見誤られた場合です。短期で急成長した馬や前走内容が軽視されたタイプが穴を開けることが多いです。

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