道悪を味方に、ショウガマッタナシが鋭く抜け出す!
2025年4月20日、金沢競馬第10レースに組まれた「ノトキリシマ賞(3歳牝馬限定・ダ1500m)」は、春の嵐が吹き荒れる中、馬場状態は「良」とは名ばかりの雨に濡れたタフなダートで行われました。そんな中、勝利を手にしたのは3番人気のショウガマッタナシ(栗原大騎手)。スタートから中団を追走し、向こう正面から4コーナーにかけてじわじわと進出。直線では一気の末脚で前を行く人気馬をかわしてゴール板を駆け抜けました。
この勝利は単なる人気薄の伏兵による“まぐれ”ではなく、馬体重マイナス11kgと絞れていたことからも、仕上がりの良さがうかがえました。ラストの39.1秒という上がりタイムも、この日の馬場では優秀。雨で重たくなった馬場を味方にし、力強く伸び切った姿は今後への期待も高まる内容でした。
一方、1番人気のビバロジータは道中好位からレースを進め、しっかりと粘っての2着。地力の高さを見せましたが、最後は勝ち馬の勢いに屈する形となりました。3着には6番人気のゴールドパースが健闘。好位のインをロスなく立ち回ったのが功を奏しました。
道中はテンに行きたがる馬が多く、特に7番モカチャンが積極的に飛ばしたことで、全体のペースが引き締まりました。結果的に、後方から差す競馬がしやすい流れとなり、ショウガマッタナシのような差し馬にとっては理想的な展開となったと言えます。
金沢競馬場 動画・映像 2025年04月20日 10R :楽天競馬
1〜3番人気馬のレース内容を分析:ビバロジータはやはり強かったが…?
① ビバロジータ(1番人気・2着)
加藤翔馬騎手が騎乗したビバロジータは、直前の馬体重変動なしで仕上がりは万全。これまでの安定した成績から支持を集めました。スタートも良く、序盤は好位2〜3番手につけてスムーズな立ち回り。しかし、直線では勝ち馬の決め手に屈し、2着に敗れました。
それでもこの馬のレースセンスは抜群。馬場が湿っていたことでやや脚を取られた印象もありますが、それでも崩れなかったあたり、やはり能力は一枚上。今後、馬場が渋らなければさらなる上昇も十分期待できます。
② モカチャン(2番人気・10着)
米倉知騎手の手綱で逃げを狙ったモカチャン。しかし、序盤から他馬との先行争いが激化し、特に8番のエムザックドリームとやり合ってしまったことで、ラストは完全にガス欠。終わってみれば42.9秒という最も遅い上がりで大敗を喫しました。
加えて、馬体重が+4kgと少し余裕残しの仕上げにも映り、反省材料の多い一戦。力を出し切れなかったのは確かで、巻き返しに期待したいところですが、今後もペースを握れない展開では脆さを見せるかもしれません。
③ ショウガマッタナシ(3番人気・1着)
やはりこの日の主役。前走からマイナス11kgという大幅な絞り込みは、陣営の勝負気配が見て取れるものでした。スタートはゆったりと出て中団やや前につけ、道中はインでロスなく進め、3コーナー手前から外へ持ち出すと一気に加速。直線ではビバロジータの外から力強く抜け出しました。
終いの脚は光っており、上がり39.1秒は出走馬中最速タイ。馬場も味方につけた形ですが、それ以上に馬の地力が上回った印象。ここにきて本格化の気配あり、今後の活躍が楽しみな1頭です。
次走の狙い馬:道悪こなしたこの馬に注目!“ノーザトゥルース”の進化に期待
今回のレースで特に注目したいのは、5着に入線したノーザトゥルース(7番人気)です。
まず注目したいのは、その“走破内容の良さ”。結果としては5着でしたが、3コーナーで一気に押し上げる競馬を見せており、上位馬とはほとんど差のない競馬を展開していました。しかもこの馬、他の差し馬に比べて内を通る時間が長く、若干馬場の悪い部分を走らされていたのは明らか。それでも最後まで脚が止まらず、直線でもうひと脚使っていたのは評価に値します。
さらに、前走よりも馬体重が-7kgと絞れていたことで、状態面の良さも後押し。今回は初コースとも言える金沢での競馬で、しかも道悪馬場という難条件だったことを考えれば、着順以上に中身の濃い内容でした。
次走、馬場が乾いてパフォーマンスが上がる可能性があり、人気が落ちればなお狙い目。展開次第で十分に3着以内の好走が見込める一頭です。
中団からの進撃!ゴールドパースが示した可能性
3着に食い込んだのは、6番人気の伏兵ゴールドパース。馬体重+8kgと、やや余裕のある仕上げながらも好内容のレースを見せてくれました。スタート直後から中団内目のポジションに収まり、道中は脚をためる走り。3コーナーでは最内を通り、ロスなくポジションアップを図ると、直線でもしっかり脚を伸ばして3着を確保しました。
ゴールドパースは500kgを超える恵まれた馬格の持ち主で、力のいる馬場への適性も見せつけました。また、雨馬場で脚抜きの良いコンディションであるにも関わらず、内ラチ沿いを選択した騎手の好判断も光りました。正直、馬場の真ん中を通っても不利にならなかった場面で、敢えて馬群を縫って抜け出してきたその勝負根性は評価すべきです。
この馬も今回の結果以上に次走へつながる内容。距離適性は1500m前後がベストと思われ、馬体をしっかり使って走れる競馬ができれば、さらに上を狙える存在でしょう。レースセンスが高く、相手関係次第では勝ち負けも十分狙える器です。
エムティパル、エイシンヴァルキリの善戦にも注目
6着のエムティパルは、レース中盤まで後方でじっくり脚をため、3〜4コーナーでは一気に押し上げて見せ場を作りました。結果としてクビ差の6着に終わりましたが、最後の伸びには見るべきものがありました。追い出しのタイミングさえ整えば、次走での浮上も期待できる脚力を秘めています。
また、7着のエイシンヴァルキリも10番人気という低評価ながら、勝ち馬とわずか1.6秒差。序盤から馬群に揉まれながらもバテずに最後まで走り切った内容は、成長の兆しといえるでしょう。今回の経験が次走以降の好走につながる可能性は高く、人気薄での一発を狙うには面白い存在です。
ノトキリシマ賞総括:波乱の中にも見えた“地力”と“成長”
今回のノトキリシマ賞は、雨中のコンディション、そして3歳牝馬同士という難しい条件が重なったことで、波乱含みのレースとなりました。その中で、ショウガマッタナシの勝利は紛れではなく、確かな仕上がりと展開を味方にした“実力勝ち”だったといえるでしょう。
また、人気馬がそれぞれ自分の競馬を見せながらも、最後は差しに屈した形。展開次第で再度浮上のチャンスがある馬たちが多く、次走以降のリベンジにも注目が集まります。
一方、敗れた馬たちにも見どころがあり、特に中団〜後方から鋭く伸びた馬には将来的な上昇の可能性を感じさせました。馬場や距離、枠順によって大きく結果が左右される牝馬限定戦だからこそ、次走の条件替わりには注意が必要です。
そして、忘れてはならないのがノーザトゥルースの存在。表面的な5着以上に価値ある内容で、今後の動向には注目です。次走での“狙い馬”としてマークしておきたい1頭です。
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