- レース概要:スピードと駆け引きが交錯した東京スプリント
- 勝ち馬分析:エートラックス、鋭さと持久力の融合
- 2着馬:サンライズホーク、安定感抜群も勝ち切れず
- 3着馬:エンテレケイア、金沢代表の意地を見せたベテラン
- 4着馬:イグザルト、地方最先着も勝ち切れないもどかしさ
- 5着馬:ガビーズシスター、ルメール騎乗で人気を集めるも…
- 6着馬:ダノンスコーピオン、距離短縮も適性には疑問符
- 7着馬:ラプタス、積極策実らずも健闘の内容
- 8着馬:マックス、善戦も壁は厚かった
- 9着馬:ギャルダル、得意舞台でも結果出ず
- 10着馬:ティントレット、終始中途半端な競馬
- 11着馬:デュアリスト、見せ場なく苦戦続き
- 12着馬:ギガース、馬体減響いたか伸び欠く
- 13着馬:マザオ、外枠不利と距離適性の壁
- 14着馬:ボイラーハウス、地元の意地届かず
- 15着馬:グランデマーレ、流れに飲まれ力出せず
- 次走の狙い馬:ダノンスコーピオン(6着)
レース概要:スピードと駆け引きが交錯した東京スプリント
2025年4月16日、大井競馬場で行われた【東京スプリント(JpnⅢ)】は、春のダート短距離戦線を占う重要な一戦として注目を集めた。1200mという短距離戦ながら、全国から精鋭が揃った重賞競走であり、JRA・地方混合戦の図式もあって、多様な展開が想定された中でのレースとなった。
馬場状態は「稍重」。スピードの出やすい状況であったが、やや力のいる部分も残し、純粋なスピードだけでなく、最後まで踏ん張れるスタミナや勝負根性も問われるコンディションだった。
大井競馬場 動画・映像 2025年04月16日 11R :楽天競馬
勝ち馬分析:エートラックス、鋭さと持久力の融合
勝利を収めたのは、4番人気のエートラックス(牡4・宮本博厩舎)。鞍上はJ.モレイラ騎手。スタートはやや控え気味に入ったが、道中は内をロスなく立ち回り、3〜4コーナーでじわじわとポジションを上げていく。直線に入ると一気に加速、前を行く馬たちをあっという間に交わし、最後はサンライズホークとの接戦をクビ差制した。
注目すべきはそのラスト3F「36.9秒」という鋭い上がり。テンの速さにはやや欠けるが、終いの切れ味は非凡。斤量57.0kgを背負いながらも、上位勢の中では最も強烈な末脚を見せたことが、勝因として大きかった。馬体重も-3kgと引き締まり、いかにも「走れる体」になっていたのも好感が持てる。
エートラックスは昨年から短距離路線で安定した走りを見せていたが、ここに来て完全に本格化の兆し。今後、さらなる高み—例えばJpnⅠやGⅠレベルの戦いでも存在感を示せる可能性を感じさせる一戦だった。
2着馬:サンライズホーク、安定感抜群も勝ち切れず
2着に惜しくも敗れたのはサンライズホーク(セ6・牧浦充厩舎)。人気は2番人気で、M.デムーロ騎手が騎乗。レース序盤は中団よりやや前目の位置取りでスムーズに追走。直線では外目に持ち出して力強く伸びるが、最後の最後でエートラックスに差し切られた。
ラスト3Fは「36.5秒」。エートラックスよりも早く脚を使い始めたため、ゴール前で一歩足りなかったのが敗因。ただしこの馬も斤量56.0kgを背負いながら抜群の安定感を見せており、年齢を重ねた今も衰えを全く感じさせない走りだった。
左回り・右回り問わず安定したレース内容を見せており、今後もダート短距離のJpnⅢ~JpnⅡでは確実に上位争いが期待される。勝ち切れないもどかしさはあるが、その分連軸としては極めて信頼度が高い存在である。
3着馬:エンテレケイア、金沢代表の意地を見せたベテラン
地方所属馬の意地を見せたのが3着エンテレケイア(牡7・小久保智厩舎)。吉原寛人騎手とのコンビで、堂々の3着を死守した。7歳のベテランながら、レースでは3コーナー先頭という積極策に打って出た。
特筆すべきは「37.1秒」の上がり。決して速くはないが、自ら早めに動いて長く脚を使ったことを考えれば評価は高い。馬体重-19kgという大幅減がどうかと思われたが、むしろ絞れて動きが軽くなった印象もあった。
地方の重賞常連として知られる同馬だが、中央馬相手にこの着順は立派。今後も南関や金沢を中心に、ダート1200m〜1400m戦で重賞戦線を盛り上げてくれそうだ。
4着馬:イグザルト、地方最先着も勝ち切れないもどかしさ
大井所属のイグザルト(牡6・荒山勝徳厩舎)は、地元勢最先着の4着。御神本訓史騎手とのコンビで、絶妙なポジション取りから勝ちに行く競馬を展開した。
スタートから好位をキープし、道中は3〜4番手を追走。4コーナーでは仕掛けも早く、直線入り口では先頭に並びかける勢いを見せた。が、最後の最後に脚が鈍り、3頭にかわされての4着入線となった。
この馬にとっては勝ちパターンに近い内容だったが、最後の切れ味で一歩及ばなかったのが敗因。とはいえ、地元・大井でのこの成績は価値が高く、南関の短距離重賞では今後も要注目の1頭だ。
5着馬:ガビーズシスター、ルメール騎乗で人気を集めるも…
1番人気に推されたガビーズシスター(牝4・森一誠厩舎)は、C.ルメール騎手を背にしての一戦。勝ち負けを期待されたが、5着にとどまった。
レースでは中団やや後方からの競馬。直線では外に出して伸びを図るも、思ったほどの伸びは見せられず。上がり3F「36.8秒」という数字からも、決して悪くはないが、上位馬たちの脚色には劣っていた。
初の地方ダートでの重賞という点も影響したか。スピード一辺倒ではなく、地方特有の砂の重さやタフさが微妙に影響した印象もある。だが牝馬としてはこの相手に5着は健闘とも言える結果。今後も中央の牝馬限定ダート戦では十分巻き返せるだけの力はある。
6着馬:ダノンスコーピオン、距離短縮も適性には疑問符
6着に入ったのは、かつてマイルGⅠを制した実績を持つダノンスコーピオン(牡6・福永祐一厩舎)。今回は距離を大きく短縮しての出走だったが、その適性にはやや疑問が残る内容だった。
レースでは中団やや後ろで脚を溜める形。直線に入っても末脚を使おうとしたが、最後の伸び脚は目立たず、ラスト3F「36.4秒」と、勝ち馬より速い脚を使ってはいるものの、位置取りの差もあって上位争いには加われなかった。
1200m戦ではペースの速さに対応しきれない部分が見受けられ、やはりベストは1400〜1600mあたり。スピードではなく、ギアチェンジや持久力で勝負するタイプだけに、次走での巻き返しは距離延長が鍵になるだろう。
7着馬:ラプタス、積極策実らずも健闘の内容
9歳の古豪ラプタス(セ9・渡邊薫彦厩舎)は、13番人気という低評価を覆す内容で7着に粘った。小沢大仁騎手が果敢に前に出していく姿勢を見せ、3〜4コーナーでは一時先頭に迫る場面も作った。
ラスト3F「37.4秒」と決して切れる脚ではなかったが、先行して粘り込む形はこの馬の真骨頂。年齢を考慮すれば、このパフォーマンスはむしろ評価されるべきだ。重賞ではやや苦戦気味だが、地方交流のオープン特別や1400m戦線ではまだまだチャンスはある。
近走成績からは下降線に見えたが、今回の内容を見れば衰えを完全に否定するには早い。展開次第では再び馬券圏内に食い込むシーンも十分考えられる。
8着馬:マックス、善戦も壁は厚かった
8着のマックス(セ8・福永敏厩舎)は、先行して見せ場は作ったが、最後の伸びを欠いての凡走となった。クアトロ騎手が序盤から押して位置を取りに行き、道中も流れに乗っていたが、直線に入るとジリジリとした伸びに終始。
ラスト3F「37.5秒」と上位陣に比べて明らかに脚色が劣っており、年齢的な衰えが出始めている可能性も。中央馬との力差を感じる内容だった。
とはいえ、大井所属馬として一定の存在感は見せており、地元重賞やオープンクラスでは引き続き上位進出が狙える。今後はもう少し相手関係の軽い舞台で勝負したい。
9着馬:ギャルダル、得意舞台でも結果出ず
船橋所属のギャルダル(牡7・川島一哉厩舎)は、得意とする大井1200m戦での参戦だったが、9着に敗れた。澤田龍哉騎手とのコンビで、内を通ってロスなく立ち回ったが、直線では完全に脚が止まった印象だ。
ラスト3F「36.9秒」と数字的には悪くないが、ポジション取りや仕掛けのタイミングがやや遅れたか。やはり中央勢の壁は厚く、持ち時計・スピードともにもう一段ギアが欲しい。
地元のA級戦では安定しているが、全国レベルでは一歩及ばない印象。次走は地元に戻って巻き返しを狙いたいところだ。
10着馬:ティントレット、終始中途半端な競馬
大井所属のティントレット(牡4・荒山勝徳厩舎)は、矢野貴之騎手を背にやや期待されたが、10着に終わった。スタート直後から位置が取れず、道中も終始流れに乗れないままレースを終えてしまった。
ラスト3Fは「37.1秒」と平均的だが、位置取りの悪さが致命的だった。上がりに頼るタイプではなく、もっと前々で競馬をしてこそのタイプだけに、今回の内容は参考外と見るべきかもしれない。
まだ若い馬であり、地元のB1〜A2クラスでは引き続き注目したい1頭ではある。馬体も-8kgと仕上がり途上だった可能性もあり、巻き返しに期待。
11着馬:デュアリスト、見せ場なく苦戦続き
船橋所属のデュアリスト(牡7・藤田輝信厩舎)は、かつてのJRAオープン実績馬だが、11着と厳しい結果に終わった。張田昂騎手とのコンビで臨んだが、序盤から追走に苦労し、見せ場を作ることができなかった。
ラスト3F「37.9秒」は上位陣と比較しても大きく見劣り、直線では完全に脚が止まってしまっていた。加齢によるスピードの衰えも懸念される中、現状では中央馬相手の重賞戦での上位進出は難しい印象だ。
とはいえ、地方のダート戦においてはクラスや展開次第でまだ善戦の余地はある。次走は一息入れて、仕切り直しの一戦が求められるだろう。
12着馬:ギガース、馬体減響いたか伸び欠く
4歳馬ギガース(牡4・佐藤太厩舎)は、船橋の期待株として参戦したが、結果は12着と厳しいものだった。騎乗した本田正重騎手の手綱にも応えることができず、スタート後は中団に控えていたが、直線では早々に後退。
馬体重は-3kgとやや絞れての出走だったが、むしろこの馬にはやや影響が出たような印象で、迫力を欠く走りだった。ラスト3Fは「37.8秒」と見どころに乏しく、重賞の流れに完全に乗り遅れた。
この敗戦で見限るには早いが、自己条件戦や地元戦での見直しが先決か。今後は距離やクラスを落として、立て直しを図りたい。
13着馬:マザオ、外枠不利と距離適性の壁
13着に沈んだのは大井のマザオ(牡5・嶋田幸晴厩舎)。吉井章騎手が騎乗したが、終始外々を回される苦しい展開となり、スムーズな競馬ができなかった。加えて序盤のポジショニングも中途半端になってしまい、良い形でレースに入れなかったことも響いた。
ラスト3F「37.6秒」と数字的にも冴えず、やはりこのクラスでは一枚足りない印象。距離は短めが合うタイプではあるが、中央勢が揃う中で見劣ったのは否めない。
とはいえ、大井コースには慣れており、条件さえ整えば地元戦での巻き返しの可能性はある。次はもう少し相手が楽な条件を狙いたい。
14着馬:ボイラーハウス、地元の意地届かず
14着に敗れたのはボイラーハウス(牡7・吉井竜一厩舎)。達城龍次騎手とのコンビで出走したが、終始後方で流れに乗れず、見せ場のない内容だった。
道中の位置取りも後ろすぎたうえ、勝負どころでもスムーズさを欠き、直線でも特に伸びる気配は見られなかった。ラスト3F「37.4秒」はこの馬なりに走ってはいるが、やはり中央勢相手ではスピード不足が浮き彫りに。
地元の特別戦では一定の力を見せており、クラスと相手次第ではまだ巻き返しの余地はある。ただし、近走の成績を見る限り、大きな上昇は望みにくい状況だ。
15着馬:グランデマーレ、流れに飲まれ力出せず
最下位に終わったのはグランデマーレ(牡8・高岩孝敏厩舎)。かつては中央で重賞でも善戦していたが、年齢的な衰えも隠せなくなってきている。今回は本村直樹騎手とのコンビで出走したが、全く競馬に参加できないまま終わってしまった。
ラスト3F「37.7秒」と、完全に脚が上がっており、展開に対応するスピードも体力も残っていなかった。馬体重も-4kgと絞れての出走だったが、むしろこの馬にとってはマイナス材料だったかもしれない。
年齢的にも潮時が近づいている印象が強く、今後は無理のないローテーションで、少しでも得意条件に絞って使っていく必要がありそうだ。
次走の狙い馬:ダノンスコーピオン(6着)
今回のレースで着順以上に「光るもの」を見せたのが、6着のダノンスコーピオン。確かに短距離1200mでは忙しすぎる印象はあったが、それでもラスト3Fで「36.4秒」という上位陣に迫る脚を使っていた点は見逃せない。
この馬はもともと1600mでGⅠを勝った実績があり、距離をもう少し延ばせば、より持ち味である持続力と末脚が生きてくる。今回の凡走は距離と展開の不一致であり、決して力負けではない。
次走で1400m〜1600mに距離が戻れば、間違いなく3着以内が期待できる存在。中央復帰戦でも、人気を落とすようなら「美味しい穴馬」として狙いたい1頭だ。
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