- レース総評:プリフロオールイン、文句なしの完勝劇
- スタートからゴールまで:逃げ切りの内容を徹底分析
- 勝ち馬分析:プリフロオールインが見せた本質とは
- 2着馬グラティアスグー:人気薄で激走の背景に迫る
- ニクソンテソーロの3着:惜しくも届かず、その原因は?
- エクセレントタイムの4着:復調気配見えた実力馬
- エスポワールガイの5着:先行力を生かせず
- ネオブレイブの6着:年齢感じさせない老雄の奮闘
- グッドヒューマーの7着:自分の競馬はできたが…
- ティアップエックスの8着:末脚不発に終わる
- カツベンケイの9着:馬場に泣いた悔しい結果
- ロッキーサンダーの10着:人気を裏切る大敗、その真相
- ナムラボスの11着:後方まま見せ場なく
- ダノンジャスティスの12着:末脚不発、完全に力負けか
- 次走の狙い馬:エクセレントタイム
レース総評:プリフロオールイン、文句なしの完勝劇
2025年4月13日に行われた高知競馬の名物重賞「二十四万石賞」は、1900mのダート戦。不良馬場という条件下で行われた一戦は、1番人気に支持されたプリフロオールイン(牡4)が圧巻の逃げ切り勝ち。2着に8番人気のグラティアスグー、3着には3番人気のニクソンテソーロが入った。
まず注目すべきは、プリフロオールインの完璧な逃げ戦術だ。スタート直後からスムーズにハナを奪い、他馬に一切影を踏ませない展開。道中ではプレッシャーをかけられる場面もなく、自分のリズムでレースを運べたことが最大の勝因だろう。
馬場状態は「不良」となっていたが、プリフロオールインにとってはむしろプラスに作用した様子。脚抜きの良い馬場でスピードを持続させる形がピタリとハマり、最後の直線でも後続に詰め寄られることなく、4馬身差をつける余裕の勝利を飾った。
上位人気馬の一角であるロッキーサンダー(2番人気)が10着と大敗を喫するなど、馬場や展開に泣いた馬も多く、全体として力関係だけでは決着しない、タフな一戦となった。
高知競馬場 動画・映像 2025年04月13日 6R :楽天競馬
スタートからゴールまで:逃げ切りの内容を徹底分析
このレースの最大の見どころは、やはりプリフロオールインのスタートからゴールまで一度も先頭を譲らなかった「完璧な逃げ切り」だ。コーナー通過順を見てもわかる通り、1コーナーから最終コーナーまで一貫して先頭をキープ。まさに「行った行った」の展開だった。
1コーナーで早々に隊列が決まり、3番プリフロオールインがリード。外から好位に構えたのは9番グッドヒューマーや4番エスポワールガイだが、プリフロのペースは絶妙で、誰も無理に絡みにいけなかった。
その結果、道中で脚を溜めることができ、ラスト600mのスパートでは37.2秒という上がりタイムをマーク。他馬より明確に速い上がりでまとめており、スタートからゴールまで「力でねじ伏せた」といってよい内容だった。
また、騎乗した永森大智騎手の手綱さばきも見事。ペースを緩めすぎず、しかし暴走することもなく、直線に余力を残す完璧なリード。高知の競馬場特有のタフな馬場に対する理解が非常に深く、「地元のエース」としての役割を果たしたと言える。
勝ち馬分析:プリフロオールインが見せた本質とは
この勝利で改めて示されたのが、プリフロオールインの先行力と粘り強さである。過去のレースからも分かる通り、同馬は「前に行ってどこまで粘れるか」が勝負の鍵となるタイプ。今回はそれが100点満点でハマった形だ。
また、今回のレースを通じて、距離適性の高さも再確認された。1900mという中距離の舞台で、スタミナ面の課題がまったく見えず、最後まで脚色が鈍ることもなかった。加えて、馬体重も前走から-2kgと理想的な仕上がり。仕上がりの良さがパフォーマンスにも直結していた印象だ。
そして、注目すべきは不良馬場でもその力を十分に発揮できた点。泥をかぶらない逃げの形はもちろん有利だが、仮に外から早めにプレッシャーをかけられていたとしても、今回は並ばせないだけの余力と根性があっただろう。
この一戦で重賞クラスでの安定感を証明したプリフロオールインは、今後の高知ダート路線において中心的存在となるのは間違いない。次走は斤量増なども予想されるが、それをも跳ね除けるだけのスケールを感じさせる内容だった。
2着馬グラティアスグー:人気薄で激走の背景に迫る
今回、最もファンを驚かせたのが8番人気ながら2着に突っ込んできたグラティアスグーの激走。単勝オッズはかなりついており、複勝870円、馬連4,850円という好配当の立役者となった。
レース序盤は中団のやや前目、内の2番枠からスムーズにポジションを取り、最内をロスなく回る理想的な競馬。騎手の郷間勇太騎手も冷静な判断で、最終コーナーでは馬場の良い位置を選んで進出。直線では逃げるプリフロオールインに迫る勢いを見せた。
また、グラティアスグーは不良馬場に強いタイプとして知られ、道悪巧者ぶりを存分に発揮。前走ではやや伸び悩んでいたが、状態が戻った今回は調教師の仕上げも抜群だったと言えるだろう。
とはいえ、プリフロオールインとの間には「決定的な差」があったのも事実。着差は4馬身と大きく、水準以上のパフォーマンスをしても勝ち馬には届かなかった。それでも、今回のように展開が向けばまだまだ馬券圏内に入る力はある。次走も相手や馬場次第では一発を秘めている存在だ。
ニクソンテソーロの3着:惜しくも届かず、その原因は?
3着に食い込んだのは、3番人気のニクソンテソーロ(牡5)。クビ差の接戦で2着には届かなかったが、内容としては非常に評価できるものだった。
まず、序盤はやや後ろ目のポジションからレースを進め、3コーナー過ぎから大外を通ってスパート。上がり3ハロンは出走馬中最速の37.9秒で、直線では鋭く伸びてきたが、序盤の位置取りがやや後ろすぎたか。
馬体重も前走比で-8kgとやや絞られていたのは好材料で、仕上がりの良さはパドックでも目立っていた。騎手の加藤翔大騎手も手応えを感じながら追い込んでいた様子で、展開ひとつで勝ち負けまで届いた可能性はあった。
ただし、前残りの展開に泣いた印象も否めない。あれだけスローで流れると、どうしても追い込み勢は厳しい立場になる。よって、今回の3着は“負けて強し”の内容と捉えてよい。
エクセレントタイムの4着:復調気配見えた実力馬
エクセレントタイム(セ7)は、このレースで密かに存在感を示した一頭。最終的に4着に終わったが、直線ではしっかりと脚を使い、上位馬に肉薄した競馬だった。
スタートから道中は中団外目を追走。序盤は無理にポジションを取りにいかず、馬のリズムを重視した競馬。3コーナー手前から徐々にポジションを上げ、直線では最内を突いて差を詰めた。上がりタイムも37.5秒とまずまずで、前が止まらない中での差し脚は光った。
この馬はかつてB級クラスで安定した成績を残していたが、近走は調子を落としていた印象。しかし、今回の内容を見る限り、徐々に本来の力を取り戻しつつあると感じられる。特に馬体の張りや毛艶など、見た目のコンディションも上昇傾向にあり、今後の活躍に期待が持てる。
また、騎乗した妹尾浩一朗騎手の落ち着いた騎乗も高評価。大きなロスなく立ち回り、馬の能力を引き出す内容だった。人気以上の着順での入線は、今後のレース選択次第でさらなる上昇が期待できる結果だ。
エスポワールガイの5着:先行力を生かせず
エスポワールガイ(牡6)は、内枠の利を生かして先行策に出たものの、最後の直線で伸びきれず5着。とはいえ、展開的には前有利だった中で、それなりの粘りを見せており、評価は下げにくい内容だった。
スタートはまずまずで、スッと前につける競馬。プリフロオールインのすぐ後ろ、2~3番手あたりを追走していたが、3コーナーあたりでやや手応えが怪しくなり、直線ではズルズルと後退。ただ、最後まで大きくバテることなく走り切っており、地力の高さは感じさせた。
馬体重は-3kgと引き締めてきており、状態面は問題なさそうだった。ただし、今回のようなタフな不良馬場では、持ち味のスピードをフルに発揮しづらかった可能性が高い。乾いた馬場でのパフォーマンスの方が安定しているだけに、次走以降の馬場状態には注意が必要だ。
また、騎手の岡村卓弥騎手も悪くない騎乗だったが、終始プレッシャーを受ける展開だったため、もう少しスムーズな競馬ができれば着順を上げられたかもしれない。
ネオブレイブの6着:年齢感じさせない老雄の奮闘
ネオブレイブ(牡9)は高齢馬ながら6着と健闘。9歳という年齢を感じさせない走りを見せ、地元のファンからは温かい拍手が送られた。
序盤は後方寄りのポジションに控え、脚を溜める形。4コーナーから直線にかけては内からジリジリと脚を使い、上がり37.5秒の末脚で掲示板まであと一歩に迫った。
この馬の特性として、常に安定したパフォーマンスを見せる点が挙げられる。特に長丁場では、スタミナ勝負になったときに強さを発揮する傾向があり、今回のような1900m戦は合っている印象だ。
また、馬体重も変動なしの531kgと安定しており、コンディション維持にも成功している。年齢的に能力のピークは過ぎているかもしれないが、大崩れしない競馬は引き続き馬券妙味のある存在と言える。
グッドヒューマーの7着:自分の競馬はできたが…
11歳の大ベテラングッドヒューマー(セ11)も、年齢を感じさせない前向きな競馬を披露。最終的には7着だったが、3コーナーまでは2番手につけ、積極的なレース運びだった。
特筆すべきはその先行力。若い頃から逃げ・先行で好成績を収めてきた馬で、今回も積極策を打ち出したが、最後の脚はさすがに衰えが見えた。ただし、3コーナーまでは勝ち馬に食らいつき、タイム差もわずか1.6秒と健闘した内容だった。
この馬にとっては、もう少し距離が短い方が適性に合っているかもしれない。1400~1600mあたりなら、まだまだ前で粘れる可能性はある。今後の条件選び次第では、再度の激走も十分に考えられる。
ティアップエックスの8着:末脚不発に終わる
4番人気のティアップエックス(セ5)は、期待された末脚が影を潜め、8着に敗れた。今回はやや中途半端な位置取りでレースが進み、得意の直線勝負に持ち込めなかった点が敗因といえる。
スタートはまずまずだったが、道中は内々で包まれる形となり、仕掛けどころでスムーズに動けず。直線でも伸びきれず、前との差を詰めることができなかった。上がりタイムは38.2秒とこの馬にしては平凡な数字で、持ち味を全く発揮できなかった印象だ。
今回は馬体重も-6kgとやや絞りすぎた感があり、多少の調整ミスがあった可能性も否めない。次走は立て直して、外枠でのびのびと走れる条件なら、巻き返しは十分可能だ。
カツベンケイの9着:馬場に泣いた悔しい結果
カツベンケイ(牡6)は、持ち味の前進気勢を活かしきれず、9着と結果を残せなかった。スタートからはある程度ポジションを取りにいったが、道中での手応えに乏しく、直線では見せ場なく沈んだ印象だ。
今回の敗因は明確で、「馬場と展開」に尽きる。不良馬場の脚抜きの良さに対応しきれず、脚を取られてしまったような格好。また、馬体重が+3kgとやや重めに出ていたことも影響した可能性がある。
騎手の木村直輝騎手も積極的に仕掛けてはいたが、スピードに乗れず、終始苦しい展開となった。今後は軽い馬場、または雨の影響が少ない日を狙っての出走が鍵となりそうだ。
能力自体は一定のものがあり、今回の着順で見限るのは早計。展開ひとつで着順は変わるタイプであり、再度の激走に期待してよいだろう。
ロッキーサンダーの10着:人気を裏切る大敗、その真相
2番人気に支持されたロッキーサンダー(牡8)は、10着という大敗に終わった。期待を集めた馬だけに、ファンとしても驚きの結果だったが、内容を冷静に振り返ると、いくつかの敗因が見えてくる。
まず、スタートこそ悪くなかったが、道中は中団のやや後ろに構える形となり、ペースに乗り切れない展開だった。さらに、内に入れずに外を回るロスが重なり、3コーナーあたりからズルズルと後退。上がり38.4秒と決め手も欠き、見せ場を作れなかった。
また、馬体重が-8kgと大きく減っていた点も気がかり。輸送や調整過程で何らかの不安があった可能性もある。名手赤岡修次騎手が騎乗していたこともあり、余計に期待が高かっただけに、この結果は残念としか言いようがない。
しかしながら、実績馬であることには変わりなく、ひと叩きされた次走では変わり身があるかもしれない。敗因が明確なだけに、巻き返しは十分期待できる。
ナムラボスの11着:後方まま見せ場なく
ナムラボス(牡8)は、後方からの競馬に徹するも、流れに乗れずそのままゴール。見せ場を作ることなく11着と沈んだ。近走も苦戦が続いており、今回も調子を戻すには至らなかった。
スタートで出負けし、道中は最後方近くを追走。3コーナーから進出を試みるも、馬群の壁に阻まれ、外々を回ることになった。上がりタイムは38.5秒と目立たず、最後の直線もジリジリとしか伸びなかった。
コンディションもまだ本調子とは言えず、馬体重も-2kgとやや微調整にとどまった。展開がハマれば馬券内に食い込む力はあるが、近走を見る限り、しばらくは様子見が賢明か。
ダノンジャスティスの12着:末脚不発、完全に力負けか
最下位に沈んだのは、かつてJRAで重賞にも顔を出していた実績馬ダノンジャスティス(セ9)。地方転厩後も苦戦が続いており、今回もその流れを断ち切ることはできなかった。
スタート直後はやや出負け気味で、中団後方の位置。道中も特に目立った動きはなく、4コーナーで仕掛けるも反応が鈍く、結果として最も遅い上がり39.5秒。直線でも伸びる気配はなかった。
馬体重も-4kgと仕上がりは悪くなかっただけに、年齢による衰え、あるいはクラス慣れしていないことが敗因として考えられる。今後はクラスを落としたり、距離を短縮しての一変に期待したいところだ。
次走の狙い馬:エクセレントタイム
今回のレースを通じて、次走に注目したい一頭はエクセレントタイムである。7歳のセ馬でありながら、最後までしっかりと脚を使っており、状態の良さとレース勘の鋭さを見せつけた。
今回は4着止まりではあったが、内容的には「負けて強し」。不良馬場という難条件でも対応し、上がりも上位と遜色ないタイムを記録。位置取りひとつで馬券圏内は十分狙えたレースだった。
調教師のコメントからも「まだ上積みがある」とのことで、次走で同様の距離、もしくは乾いた馬場での出走となれば、勝ち負け必至。体調の良さをキープできれば、3着以内は十分可能と判断できる存在だ。
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