森泰斗、地方競馬の象徴が有終の美を飾り引退
2024年11月29日、船橋競馬場で行われた「ありがとう!森泰斗騎手」の名が冠された最終レースをもって、地方競馬界の名手・森泰斗騎手(43=船橋)が現役生活に幕を下ろした。その華麗な騎乗と謙虚な人柄でファンを魅了し続けた森は、この日も4勝をマークする見事なラストデーを披露。長年の功績にふさわしい有終の美を飾った。
引退理由と騎手生活の振り返り
引退会見で森は、心と体の限界を理由に挙げた。
「心技体という言葉がある中で、心と体の部分が衰えてきた」と話し、右足首の不調や蓄積された関節の消耗、さらにはジョッキー仲間の事故や訃報に触れ、競馬への恐怖心も芽生えたことを明かした。26年にわたる騎手人生を振り返り、「逆境が多く苦しい時期もあったが、よくここまで頑張ったと思う」と語った姿からは、達成感と少しの寂しさがにじんでいた。
ラストデーに輝いた4勝
引退レースを迎えた最終日は、森らしい華々しいパフォーマンスで幕を閉じた。船橋競馬場の第1Rではワンラヴ、第4Rではタカラバディウス、第5Rではオマタセシマシタ、第7Rではビレッジスティールを勝利に導き、計8戦4勝という素晴らしい戦績を残した。
最終レースの12Rではラップランドに騎乗。勝利とはならなかったが、ゴール後にはファンに一礼し、最後の感謝を示した。「勝ちたかったな。競馬は甘くないな」と悔しさを見せる一方、観客席からは惜しみない拍手が送られた。レース後、騎手仲間たちによる胴上げで宙を舞った森の笑顔には、充実感と安堵が垣間見えた。
最終日の森泰斗騎手成績
ライバルたちが語る森泰斗
森の引退に対し、同じ南関競馬を戦い抜いた仲間たちから惜別の声が相次いだ。
矢野貴之は「北関東が廃止された同時期に南関に来た仲間意識がある。彼と戦えた日々は楽しかった」と振り返り、本橋孝太も「すさまじい努力を続ける姿を見てきた。辞めてほしくない気持ちが強いが、彼の決断を尊重したい」と語った。
また、第5Rでオマタセシマシタを勝利に導いた川島正一調教師は「体のつらさを知っていただけにタイミングだったと思う。でも、もったいない」と語り、森の引退を惜しんだ。
最終騎乗のレース映像
7枠 9番 ラップランドに騎乗
森泰斗騎手の現役最後となる騎乗(11/29 船橋競馬第12競走「ありがとう!森泰斗騎手」)のレース映像です。 pic.twitter.com/jECw4GFtFQ
— 地方競馬全国協会(NAR)公式 (@nar_keiba) November 29, 2024
森泰斗の未来に期待
森自身は今後の活動について「全く白紙」としながらも、競馬に何らかの形で関わりたいと意欲を見せた。また、「太ってみたい」「だらしない生活をしてみたい」と冗談交じりに新たな日々への期待を口にした。
地方競馬の苦しい時代を知り、南関東リーディングジョッキーとしてその地位を築き上げた森泰斗。彼が残した功績は地方競馬界にとって計り知れないものだ。ファンや関係者の惜別の思いとともに、森の新たな挑戦を見守りたい。
引退ラストデーで、全ての騎乗を無事に終えた森泰斗騎手🏇
— 松井中央(スポーツ報知) (@matsui_keiba) November 29, 2024
レース後は、船橋競馬場のゴール前に、たくさんのジョッキーが駆けつけ記念撮影📷
そして胴上げが行われ、たくさんの歓声が送られるなか、笑顔とともに高く舞い上がる青い勝負服が、ひときわ輝きを増しました✨
本当にお疲れ様でした🔹 pic.twitter.com/AHovQCEp2n
森騎手、本当にお疲れ様でした!彼の活躍はずっと記憶に残りますね。今後の新しいステージでの活躍も楽しみにしています!