JRA(日本中央競馬会)は2024年11月28日、調整ルーム内での通信機器(スマートフォン)使用が発覚した小林勝太騎手(美浦・小野次郎厩舎)に対し、10月8日から来年10月7日までの12か月間の騎乗停止処分を科したと発表しました。この処分を受けて同日行われた会見で、JRAは同様の事案を防ぐための新たな再発防止策を明らかにしました。
新たな防止策とその内容
会見で発表された防止策は以下の3つです:
- 手荷物検査の徹底
調整ルーム入室時にすべての騎手を対象に手荷物検査を実施します。 - スマートフォン履歴の確認
トレセンから競馬場への移動や節内移動時に通信履歴を確認し、不正利用を防止します。 - 居室内の抜き打ち検査
調整ルーム居室内で抜き打ちの検査を実施する予定で、金属探知機の導入も検討中です。検査の詳細や頻度については公表されていません。
女性騎手に対しても同様の措置が取られますが、配慮を重視した対応が行われるとのことです。また、これらの検査に関する協力について、騎手全員の承認を得ているとしています。
藤田菜七子元騎手への調査も継続
10月9日、文春オンラインによる調整ルーム内での外部通信疑惑の報道を受け、JRAは同月11日に藤田菜七子元騎手の騎手免許取り消しを決定。会見では藤田元騎手に関する調査が現在も継続中であることが明らかにされました。通信相手の特定には至っていないものの、新たな事実が判明した場合には改めて対応する意向を示しています。
厳罰化に至った背景と過去の事例
通信機器の不正利用問題は以前から発生しており、昨年5月には若手騎手6名が不適切使用で30日間の騎乗停止、今年5月には水沼元輝騎手が9か月間の騎乗停止処分を受けています。さらに、10月7日に発覚した永野猛蔵元騎手や小林勝太騎手のケースでは、競馬の公正さを揺るがす重大な問題としてより厳しい処分が科されました。
一方で、暴力行為や酒気帯び運転といった他の不祥事と比べて通信機器関連の処分が重いのではないかという指摘もあります。これに対し、松窪隆一審判部長は「スマホ問題はお客様の信頼を損ね、競馬の根幹に関わる」として処分の厳罰化に理解を求めました。
「スマホ問題」の厳罰化が話題ですが、JRAの信頼回復には透明性の高い運営が不可欠だと思います。再発防止策が現場でどのように実行されるか、今後も注目ですね。