第58回ステイヤーズステークス展望:長距離決戦で光る実力派たちの挑戦
JRA平地重賞最長距離となる「第58回スポニチ賞ステイヤーズステークス」(GII、中山芝3600メートル)が、2024年11月30日に開催される。今年もスタミナ自慢の実力馬たちが揃い、競馬ファンを魅了する熱い戦いが予想される。
ミクソロジー:得意舞台で復活の兆し
昨年、万葉ステークスとダイヤモンドステークスでレコード勝ちを収めたミクソロジー(牡5、辻野泰之厩舎、父オルフェーヴル)は、長距離適性の高さが武器だ。1年7か月の休養後、復帰戦となったオールカマーでは振るわなかったが、状態は徐々に上向いている様子。「休養前のパフォーマンスを引き出せるかが鍵。長距離では崩れていないこの馬らしい走りを期待したい」と語る辻野調教師も復活に手応えを感じている。
アルゼンチン共和国杯での16着大敗については、「馬場状態が影響したもので、力負けではない」とのこと。叩かれた効果と本来の距離適性が合致する今回は、見直しが必要だろう。
メイショウブレゲ:長丁場の頼れる存在
ゴールドシップ産駒のメイショウブレゲ(牡5、本田優厩舎)は、今年の万葉ステークスで格上挑戦ながら勝利を飾り、長距離レースへの適性を証明した一頭。京都大賞典では11番人気ながら3着に食い込む健闘を見せており、近年ステイゴールド系の好成績が目立つこの舞台で注目される。「距離の心配はしていない。折り合いがつく馬なので期待している」と語る本田調教師は、展開次第では勝機もあると見ている。
マイネルケレリウス:血統に宿るスタミナ
マイネルケレリウス(牡4、奥村武厩舎)は、スタミナが要求されるこの条件に血統面からの期待が高い。母マイネカンナの半兄マイネルキッツは、2009年の天皇賞・春を制した実績があり、同じステイヤーズステークスでも勝利を挙げている。奥村調教師も「外見こそキッツに似ていないが、内面的な部分に共通点を感じる。スタミナは確かな馬なので、この条件を試してみたかった」と意気込みを語る。
歴史に刻まれた伝説の一戦:メジロブライトの覚醒
ステイヤーズステークスの名勝負として、1997年のメジロブライトの勝利は語り継がれる伝説だ。2着馬に大差をつける圧巻のパフォーマンスで、同馬の覚醒を印象づけたこの一戦は、後のGI制覇への布石となった。
鞍上を務めた河内洋騎手は、レース後に「天性のマラソンランナー」と絶賛。翌年には阪神大賞典や天皇賞・春を制するなど、その才能を開花させた。こうした歴史的な背景が、ステイヤーズステークスを特別な舞台としている。
まとめ:スタミナと展開力が勝敗を決する
3600メートルという過酷な距離では、持久力だけでなく展開力や折り合いの巧みさが勝敗を分ける。叩かれた効果が期待されるミクソロジー、展開次第で末脚が生きるメイショウブレゲ、血統の可能性を秘めたマイネルケレリウス。どの馬にも勝機がある舞台で、最後の直線を制するのは果たしてどの馬か。注目の一戦を見逃せない。