チャンピオンズカップ2024特集:レモンポップ、ラストランに懸ける思い
12月1日、中京競馬場で行われるチャンピオンズカップ(GI・ダート1800m)は、下半期のダート王を決定する大一番。今年注目を集めるのは、昨年の覇者であり、今回がラストランとなるレモンポップ(牡6歳)。田中博康調教師(38歳)は「有終の美を飾りたい」と、最後の戦いへの熱い思いを語った。
レモンポップと歩んだ軌跡
田中調教師にとって、レモンポップは厩舎の象徴ともいえる存在だ。デビューからの成長を見守り、数々のタイトルを手にしてきた。「距離の壁を乗り越えた馬」という評価を持つレモンポップは、2023年のフェブラリーSとチャンピオンズCの連勝で最優秀ダートホースに選ばれ、種牡馬としての価値も大きく高まった。
昨年のチャンピオンズカップでは初めて1800メートルを経験しながらも、見事に勝利を収めた。「ファンが思う以上に距離の壁は大きかった。勝った瞬間は本当に感動した」と、当時の興奮を振り返る。
今年の調整と挑む壁
2024年のチャンピオンズカップに向けて、昨年同様、長めの追い切りを取り入れた調整を実施。11月13日には8ハロン、同21日には7ハロンでしっかりと負荷をかけ、1800メートルへの適応を目指した。「春には1400メートル仕様の調教を行い、秋に1800メートルに合わせた調整を行うのは簡単ではない。それでも、この馬の順応性には驚かされる」と田中調教師は語る。
一方で、6歳馬にとって「チャンピオンズC連覇」の壁は厚い。これまで11頭が挑み、達成したのは2011年のトランセンドのみ。同じ6歳で挑んだ馬の最高成績は2着止まりだ。「6歳の壁」を超えることができるかどうかは、最大の注目点だ。
ラストランへの思い
1週前の追い切りでは美浦Wコースで併走先着。「昨年の迫力には及ばないが、十分に躍動感を見せてくれる」としつつも、「恥ずかしい競馬をさせるわけにはいかない」と意気込みを見せる田中調教師。種牡馬入りを控えるレモンポップにとって、このラストランでの結果が今後の評価にも直結する。
「走るたびに驚きと感動を与えてくれる馬。何とかあと1回、全力で頑張らせてあげたい」と語る言葉には、調教師としての愛情と覚悟が詰まっている。
最後に
6歳馬が挑む歴史的な挑戦。その舞台で輝けるかどうかは、厩舎の調整力とレモンポップの持つポテンシャルにかかっている。ファンにとっても感動的なラストランとなることを期待したい。